廃棄物コラム
設備を処分する前に|破砕証明書など処分の記録として残せる書類を整理します 2026.09.28
設備や機械を処分したあとで、資産管理部門や監査から「処分した証拠を出してほしい」と言われたことはないでしょうか。
手元にあるのは、処分を委託したときの伝票(マニフェスト)の写しだけ、という方も多いと思います。
それだけで社内の説明として足りるのか、判断がつかないという声もあります。
この記事では、その写しのほかに処分の記録として残せる書類にはどんなものがあるのか、それぞれが何を示しているのかを整理します。
目次
- 1. 処分してからでは、記録は作れません。
- 2. 書類ごとに、示せることが違います。
- 3. 破砕証明書とリサイクル証明書は、別の証明です。
- 4. 記録の土台は、処理施設の側にあります。
- 5. コンクリート電柱の例で見る、記録のつながり方
- 6. 会計・税務の判断は、当社の範囲外です。
- 7. 発注前に整理しておきたいこと
- 8. まとめ
1. 処分してからでは、記録は作れません。
先に、この記事でいちばんお伝えしたいことを書きます。
破砕の様子や重量の内訳は、処分のその場でしか残せません。だから、発注の前に「何を残すか」を決めておきます。
必要な記録は、処分を発注する前の段階で準備しておく必要があります。
というのも、写しには「金属くず ○t」といった形でしか記載されないことが多いためです。
それだけでは、どの設備を処分したのかを、あとで監査や上司に聞かれたときに示しにくくなります。
台帳に載っている資産と、処分した現物を結びつける材料が、手元に残っていない状態です。
ただし、この写しのほかにも、処分の記録として残せる書類があります。
破砕証明書、リサイクル証明書、計量票、処理前・処理中・処理後の写真などです。
これらを組み合わせることで、写しだけでは伝わらない部分を補えます。
どの書類を、どんな様式で発行できるかは案件によって異なります。すべての案件で同じ書類が揃うとは限りません。
処理そのものは、処理業者の施設で行われます。当社が引き受けるのは、発注の前にどの記録を残すかを決め、処理業者と段取りし、戻ってきた書類を揃えてお渡しするところです。
必要な記録の要件を確認したうえで、対応できる処理方法を検討し、協力会社への手配や書類の整理を行う立場です。
破砕や計量そのものは、協力会社が行っています。
2. 書類ごとに、示せることが違います。
処分にまつわる書類には、いくつかの種類があります。それぞれ示せることが違うので、順に整理します。
- ・マニフェストの写し……産業廃棄物の種類と数量の記録です。処分を委託すると、処理の段階ごとに写しが戻ってきます。
- ・破砕証明書……対象物を確実に破砕し、再使用できない状態にしたという事実を示します。発行の可否や様式は案件によって異なります。
- ・リサイクル証明書……破砕したあと、何に再資源化されたかを示します。こちらも案件によって異なります。
- ・計量票……重量の記録です。処理施設で計量したときに出るものです。
- ・処理前・処理中・処理後の写真……各工程の記録です。
- ・資産除却資料……会計上、資産を除却するための資料です。御社の経理部門や会計事務所が扱うものになります。
このうち、破砕証明書とリサイクル証明書は、名称が似ているため混同されがちです。
しかし、示している内容はまったく違います。次の章で詳しく見ていきます。
なお、写しに「混合物」とまとめて記載されていても、処理施設の中では、品目ごとに分けて管理されていることがあります。
3. 破砕証明書とリサイクル証明書は、別の証明です。
破砕証明書が示すのは、「対象物を確実に破砕し、再使用できない状態にした」という物理的な事実です。
記載する項目としては、排出事業者名、品名、数量、重量、処理年月日、処理施設、処理方法(破砕)、処理会社名などが挙げられます。
処理前・破砕中・破砕後の写真を添えることもあります。
一方、リサイクル証明書が示すのは、破砕したあと、その物が何に再資源化されたかという内容です。
たとえば「投入重量○○kg」「鉄類○○kg」「コンクリート○○kg」といった内訳です。
そこに「再生砕石として再資源化」「金属スクラップとして再資源化」といった行き先を記載できます。
つまり、破砕証明書は「壊した」ことの証明、リサイクル証明書は「壊した後、資源に戻った」ことの証明です。
この2つは、示している段階が違います。
「破砕証明書」は、当社と処理業者の書式で出す書類で、法律で定められた様式とは別のものです。
案件ごとに、発行できるかどうか、どんな様式になるかが変わります。
証明書があるからといって、それだけで何かが保証されるものでもありません。
あくまで、実際に行った処理の内容を記録として残すための書類とお考えください。
4. 記録の土台は、処理施設の側にあります。
「あとから書類は作れない」と書きましたが、では、なぜ発注前なら記録を残せるのでしょうか。
理由は、処理施設の側に、記録のもとになる情報がそろっているからです。
産業廃棄物の積替保管場所や中間処理施設には、次のような内容を記した掲示板が掲げられています。
- ・取り扱う産業廃棄物の種類
- ・処理できる能力や、保管できる量の上限
- ・施設の管理者と連絡先
つまり、何を、どれだけ、どのように扱うかが、あらかじめ決められ、掲示されています。
処理の実績も、施設の側で帳簿などに記録される仕組みになっています。
だからこそ、発注の段階で必要な記録の要件を伝えておけば、それに合わせた書類を残せる場合があります。
逆に、処分が終わってしまえば、対象の現物はもう残っていません。
こうした施設を運営しているのは処理業者です。当社は、その施設で何が記録として残せるかを発注の前に確かめ、お客様に代わって段取りします。

施設の中では、運び込まれたものを品目ごとに選り分ける工程があります。
どの品目が、どれだけ資源になったのかという内訳は、こうした工程を経て分かるものです。

5. コンクリート電柱の例で見る、記録のつながり方
抽象的な説明だけでは分かりにくいと思いますので、電柱の例で見てみます。
コンクリート製の電柱は、撤去したあと破砕して、コンクリート部分と鉄筋などの金属部分に分けられます。
この場合、破砕証明書が示すのは「この柱を確実に破砕しました」という事実です。
リサイクル証明書が示すのは、その先の内容です。
破砕したコンクリートが再生砕石になったこと、鉄筋などの金属が鉄スクラップになったことを記載できます。
破砕した鉄スクラップは、案件によっては電炉メーカーに運ばれ、厚板鋼板として再び使われることもあります。
ただし、行き先は案件や時期によって変わるため、必ずこうなるとは言い切れません。
6. 会計・税務の判断は、当社の範囲外です。
処分の記録は、資産管理部門や監査への説明だけでなく、固定資産の除却にも関わってくることがあります。
ここで、あらかじめお伝えしておきたいことがあります。
会計上の除却処理そのものは、御社の経理部門や顧問の会計事務所のご判断になります。
当社がお手伝いできるのは、物理的な処分の事実を記録として整理する部分です。
除却の可否や時期、簿価、仕訳、税務上の扱いは、経理や顧問税理士の領域です。そこで必要になる処分側の記録(日付・品目・数量・処分方法)を揃えるのが、当社の分担です。
7. 発注前に整理しておきたいこと
処分を発注する前にご相談いただくと、必要な記録に合わせて進め方をご案内しやすくなります。
次の3点を整理しておくと、話が早く進みます。
- ・対象となる設備の情報(品名、数量、分かる範囲での資産番号など)
- ・処理方法についてのご希望(確実な記録を残したいのか、ほかに優先したいことがあるのか)
- ・社内で必要とされている記録の要件(資産管理部門や監査、環境や情報セキュリティのISOの運用などで求められているもの)
お問い合わせフォームからは、写真を添付してお送りいただけます。
対象物の状況によっては、実際に進める段階で写真を拝見することもあります。
屋上や機械の内部など危険な場所での撮影は避け、安全に撮影できる範囲で構いません。
8. まとめ
- ・処分が終わってからでは、破砕の様子や重量の内訳をあとから書類にすることはできない。必要な記録は発注前に伝えておく。
- ・伝票の写しには「金属くず○t」のようにまとめて記載されることが多く、どの設備を処分したかまでは読み取れない場合がある。
- ・写しのほかに、破砕証明書、リサイクル証明書、計量票、工程写真などを組み合わせて残せる場合がある。どの書類が発行できるかは案件によって異なる。
- ・破砕証明書は「確実に壊した」という事実の証明、リサイクル証明書は「壊した後、何に再資源化されたか」の証明で、両者は別の内容を示している。
- ・会計上の除却処理は、御社の経理部門や会計事務所のご判断になる。当社が担うのは、処分の事実を記録として整理する部分
設備の処分にあたって、社内で必要な記録が分からないという場合があると思います。
写しだけで足りるか判断がつかないという場合も同じです。
処分を発注する前に、一度ご相談ください。
必要な記録の要件をお伝えいただければ、内容を確認したうえで進め方をご案内します。
あわせて読みたい
資源を残し、自然を守り、次世代の子供たちに美しい自然を残したい。
子供たちに残そう美しい自然。それが、私たちエコ・コンシェルジュの願いです。