廃棄物コラム
まだ使える製品を、あえて壊す|二次流通させないための処分という選択 2026.09.08
規格外品、検査不合格品、仕様変更前の旧型、回収した製品。まだ使える状態であっても、市場に戻すわけにはいかない製品を抱えていることがあります。
廃棄を委託したあと、本当に中古市場へ流れずに処分されているのか、不安に感じたことはないでしょうか。
この記事では、まだ使える状態の製品を、二次流通させないことを目的に処分するという進め方について、2013年に測量機器の破砕処理をご依頼いただいた一例とあわせてご説明します。
目次
- 1. 「処分したはずの製品」が、また市場に出ていたら
- 2. 結論:二次流通させないための処分もご相談いただけます
- 3. 「まだ使えるのに壊す」が必要になる場面
- 4. 実際にあった依頼:測量機器を破砕処理した一例
- 5. マニフェストと、破砕したことを示す証明書
- 6. 破砕後の金属はどうなるか
- 7. 費用について知っておきたいこと
- 8. 相談前に準備していただきたい情報
- 9. まとめ
1. 「処分したはずの製品」が、また市場に出ていたら
商社やメーカーの品質保証部門、法務・コンプライアンス部門、在庫管理の担当者であれば、一度は考えたことがあるかもしれません。
処分を依頼したはずの製品が、気づけば中古品として売られていた、という事態です。
通常、廃棄物の処分は「まだ価値があるかどうか」を基準に進められます。壊れていない、使える状態であれば、資源として、あるいは中古品として評価される方向に進むのが一般的な流れです。
しかし、その基準が当てはまらない場合があります。
仕様変更前の旧型品、検査に通らなかった製品、社外に出すべきでない回収品などは、たとえ外見上は問題なく使える状態でも、市場に戻ってしまうこと自体を避けたい対象です。
この記事は、そうした「売れるかどうか」ではなく「確実に無くせるかどうか」を気にされている方に向けたものです。
2. 結論:二次流通させないための処分もご相談いただけます
先に結論をお伝えします。まだ使える状態の製品であっても、二次流通させないことを目的に、破砕処理という形で処分するご相談をいただけます。
破砕という物理的な処理によって、製品としての機能が失われます。機能を失った製品が、そのまま中古品として市場に出回る可能性はなくなります。
処分の目的は、お客様ごとに違います。費用を抑えたいのか、資源として活かしたいのか、それとも確実に世の中から無くしたいのか。
当社は、どの目的であっても、内容を確認したうえで進め方を整理する立場です。
ただし、実際の破砕作業や収集運搬を行うのは協力会社であり、当社が現場で作業を行うわけではありません。
当社の役割は、ご要望の内容を確認し、対応できる処理方法や処理先を検討・提案し、協力会社への手配や連携を行い、マニフェストや証明書類を整理することです。
なお、製品の中に業務データが残っている場合は、モノとしての機能を消すだけでなく、情報そのものを消すことも必要になります。
データの消去や物理破壊についてはハードディスクなど情報機器の処分についての記事で、紙の記録については紙の機密書類の処分についての記事で、それぞれご紹介しています。
3. 「まだ使えるのに壊す」が必要になる場面
「まだ使えるのに壊してほしい」というご要望は、特殊なものに聞こえるかもしれません。ただ、製品を市場に出す責任を負う立場では、次のような場面が考えられます。
- ・仕様変更や型式変更により、旧型の製品を市場に残したくない場合
- ・検査や品質基準を満たさなかった製品を、外部に出したくない場合
- ・回収した製品や返品在庫を、再び市場に出さずに処分したい場合
いずれの場合も、当社が依頼の理由を判断するわけではありません。お客様のご意向を確認したうえで、対応できる処理方法をご案内する形になります。
4. 実際にあった依頼:測量機器を破砕処理した一例
2013年、ご依頼主のご希望により、測量機器を中古品として売却できない状態にしてほしい、というご依頼をいただいたことがあります。
トータルステーションやセオドライト(いずれも距離や角度を測る測量機器)が、専用のケースに収められた状態で、まとまった数量ありました。

ケースを開けると、外見上は目立った損傷のない機器が収められていました。

当社は、ご依頼内容を確認したうえで、破砕処理に対応できる協力会社へ手配し、マニフェストに加えて、破砕したことを示す証明書の整理を行いました。実際の破砕作業は協力会社が行っています。
この案件は2013年のものです。
当時と現在で証明書の様式や発行の体制が同じかどうかまでは確認できていませんが、まだ使える製品を二次流通させたくない、というご相談は現在もいただくことがあります。
5. マニフェストと、破砕したことを示す証明書
産業廃棄物の処理を外部に委託する際には、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付することが廃棄物処理法で定められています。
排出事業者・収集運搬業者・処分業者の間でやり取りされる、法定の管理票です。
制度の詳しい内容は、環境省の「産業廃棄物管理票・電子マニフェスト関連」のページをご確認ください。
このマニフェストとは別に、案件によっては、破砕したことを示す証明書をお出しすることがあります。ただし、この証明書は法律で様式が定められたものではありません。
発行の可否、様式、発行する主体は案件ごとに異なるため、記録が必要な場合はご相談の段階でお伝えください。
証明書があるからといって、それだけで二次流通しないことが保証されるわけではありません。証明書が示すのは、あくまで「破砕という処理を行った」という事実です。
二次流通を防ぐ本体の部分は、破砕によって製品としての機能を失わせること自体にあります。証明書は、その事実を記録として残すためのものとお考えください。
社内規程や監査、親会社への報告で記録の提出が求められる場合は、依頼前の段階でその旨をお伝えいただくと、確認が進めやすくなります。
6. 破砕後の金属はどうなるか
破砕処理によって製品としての機能を失ったあとも、金属の部分はスクラップとして扱われます。
当社が扱う案件では、破砕後の鉄くずが電炉メーカーへ渡り、厚板鋼板になることがあります。壊すことと、金属として資源に戻すことは、両立します。
ただし、行き先は案件や時期によって異なります。鉄以外の金属(銅・アルミなど)がどのように扱われるかも、案件ごとの確認が必要です。
なお、今回ご紹介した2013年の案件について、破砕後の金属がどのように扱われたかまでは確認できていません。
7. 費用について知っておきたいこと
この記事のテーマは、資源として売却できるかどうかではなく、確実に無くせるかどうかです。そのうえで、一点あらかじめお伝えしておきたいことがあります。
量が少ない場合、トラックへの積み込みに手間がかかる場合、他のごみが混ざっている場合などは、費用をご負担いただくことがあります。
破砕処理をともなう案件では、対象物の状態によって進め方も費用の考え方も変わるため、まずは内容を確認させてください。
8. 相談前に準備していただきたい情報
ご相談の際は、次の3点が分かる範囲で伝わっていると、話が早く進みます。
- ・対象となる製品の種類と、おおよその数量
- ・二次流通させないことを、どこまで記録として残したいか(マニフェストのみか、破砕したことを示す証明書も必要かなど)
- ・社内規程や監査、親会社への報告で、提出が求められる記録の有無
ひとつお伝えしたいことがあります。対象が自社の製品である場合、写真を外部に送ること自体が社内的なハードルになることがあります。無理に写真をご用意いただく必要はありません。
お問い合わせフォームから、対象の種類とおおよその数量を言葉でお知らせいただければ、そこから確認を進められます。内容を確認する段階で、必要に応じて写真を拝見することもあります。
9. まとめ
- ・まだ使える製品であっても、二次流通させないことを目的に、破砕処理という形で処分するご相談をいただける
- ・実際の破砕作業や収集運搬は協力会社が行い、当社はご依頼内容の確認、処理方法の検討、協力会社への手配、証明書類の整理を担う
- ・マニフェストとは別に、案件によっては破砕したことを示す証明書をお出しすることがある。発行可否・様式・発行主体は案件ごとに異なる
- ・破砕後に残った鉄くずが、電炉メーカーへ渡り厚板鋼板になることがある。ただし行き先は案件や時期によって異なる
- ・量が少ない場合、搬出に手間がかかる場合、ごみが混ざっている場合などは、費用をご負担いただくことがある
まだ使える製品を、二次流通させずに処分したいというご要望がありましたら、処分の方法を決める前に一度ご相談ください。内容を確認したうえで、進め方をご案内します。