廃棄物コラム
電柱を撤去する前に|コンクリート柱と木柱、行き先はまったく違います 2026.09.03
大学や工場、物流施設など、広い敷地を持つ施設には、電力会社が道路に立てる電柱とは別に、施設が自分で立てた電柱(自営柱・構内柱)が残っていることがあります。
設備の更新や敷地の整備にあわせて撤去することになったものの、「どうやって抜くのか」「どこへ運ぶのか」「費用は何で決まるのか」といった具体的なイメージが持てず、困っている担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
さらに、電柱にはコンクリート製のものと木製のものがあります。見た目は似ていても、撤去した後の扱いはまったく異なります。
今回は、弊社が受注し、現場作業は協力会社と連携する形で、撤去から運搬、処分まで進めた案件をもとに、コンクリート柱と木柱それぞれの行き先の違いについてご紹介します。
目次
- 1. 結論:撤去した電柱は資源として再利用できる部分があります
- 2. 電柱を1本撤去すると、性質の違う資材が同時に出ます
- 3. コンクリート柱の行き先:破砕して再生砕石にできます
- 4. 木柱の行き先:防腐剤の確認が欠かせません
- 5. 処理の内容や評価に影響する条件
- 6. 注意点
- 7. ご相談前に準備していただきたい情報
- 8. まとめ・お問い合わせ
1. 結論:撤去した電柱は資源として再利用できる部分があります
電柱を1本撤去すると、柱本体だけでなく、取り付けられていた金具や電線、碍子(がいし)など、複数の資材が同時に出てきます。
弊社が受注し、協力会社と連携して撤去から運搬、処分まで進めた案件では、中間処理を経て、これらがすべて資源として再利用されました。
ただし、これは「電柱を撤去すれば必ずすべて資源になる」という話ではありません。コンクリート柱は破砕して再生砕石にできることが、この案件では実際に確認できています。
一方で、木柱は防腐剤の種類を確認したうえでなければ、資源にできるかどうか判断できません。
同じ「電柱」でも材質によって話がまったく異なる、という点が、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
2. 電柱を1本撤去すると、性質の違う資材が同時に出ます
電柱の撤去は、柱を抜いて終わりではありません。弊社が受注した案件でも、次のような資材が同時に発生しました。
・装柱金物(電柱バンド・ボルト・金具など)
・電線や接地線などの金属類
・碍子(がいし)
・柱本体(コンクリート、または木)
・(コンクリート柱の場合)内部の鉄筋
これらは行き先がそれぞれ異なります。この案件では、装柱金物は鉄スクラップとして、電線や接地線などの金属類は鉄・非鉄金属として資源化され、銅やアルミなどに分かれていきました。
碍子は陶磁器等として別に処理されます。そして、柱本体の行き先は、コンクリートか木かによって大きく変わります。次の章から、それぞれ見ていきます。

同じ現場から出ても、木柱とコンクリート柱、そしてケーブル類は、それぞれ行き先が違います。
ケーブル・電線の資源化については「電線・ケーブルを捨てる前に|資源化で処分コストを減らす方法とは」で、柱に付いていた金具については「電柱バンド(装柱金物)を捨てる前に|資源として評価できる可能性を解説」で、それぞれ詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
3. コンクリート柱の行き先:破砕して再生砕石にできます
コンクリート柱は、撤去後に破砕して、再生砕石として再利用できる場合があります。弊社が受注した案件では、実際にこの流れでコンクリート柱が処理されました。
一般的な流れとしては、撤去したコンクリート柱をコンクリート部分と金属資源(内部の鉄筋)に分け、コンクリート部分をさらに細かく破砕します。
破砕したコンクリートは、粒度を調整して再生砕石になるほか、セメント原料やコンクリート材料、埋立用材などに利用されます。再生砕石は、道路や駐車場の路盤材などに使われます。

なお、コンクリート塊を破砕して再生砕石にすること自体は、電柱に限らず建設工事の現場でも広く行われています。
国土交通省中部地方整備局が公開している「資料4-3 建設リサイクル好事例集」には各地の事例が集められており、建物の解体工事の例として「解体により発生するコンクリート塊を破砕し、再生砕石に加工して、道路の路盤材や雨水浸透施設に再利用」といった取り組みが紹介されています。
ただしこの資料は建設工事現場の事例集であり、電柱の撤去を直接扱ったものではありません。
4. 木柱の行き先:防腐剤の確認が欠かせません
木柱の場合、金具を取り外した後の木材部分を、そのまますべて資源にできるわけではありません。ここがコンクリート柱と決定的に違う点です。
木製の電柱は屋外で長期間使われるため、防腐処理が施されているものがあります。防腐剤にはいくつかの種類があり、種類によってその後の扱いが変わります。
たとえば、CCA(クロム・銅・ヒ素化合物系)という防腐剤で処理された木材は、適正でない方法で焼却するとヒ素を含む有害なガスが発生するおそれがあり、焼却灰にも六価クロムやヒ素が含まれることがあるため、一般の木材とは分けて適正に処理する必要があるとされています。
どの防腐剤が使われているかは、外から見ただけでは分かりません。
そのため、木柱を撤去した場合の流れは次のようになります。
・金具類を取り外し、鉄・金属類として資源化する
・残った木材部分について、防腐剤等を確認する
・問題のない木材であれば、破砕して木質チップにするなど、資源として活用できる可能性がある
・防腐処理が施されている木材であれば、処理施設の受入基準に応じた適正な処理が必要になる
「木柱だから、まとめてチップにして燃料にすればよい」という単純な話ではありません。また、「古い木柱だから、味わいのある木材として使える」というものでもありません。
むしろ古い木柱ほど防腐剤が使われている可能性があるため、見た目だけで判断せず、必ず確認が必要です。
木柱がどのように処理されるかは、防腐剤の種類や状態によって異なり、この記事の時点で一律にお答えすることはできません。
5. 処理の内容や評価に影響する条件
電柱の撤去にあたって、処理の内容や資源としての評価は、次のような条件によって変わります。
・柱の材質(コンクリートか木か)
・木柱の場合、防腐処理の有無と種類
・柱の本数、太さ、長さ
・柱が立っている状態(傾き、地際の劣化状況など)
・敷地内への重機の進入路の有無
・柱に付随する金具・電線・碍子の状態
・処分先までの距離
これらは写真や現地の状況を確認したうえで、あらためてご案内する内容です。
特に木柱については、防腐剤の確認結果によって処理方法そのものが変わるため、この記事の時点で一律の答えをお示しすることはできません。
6. 注意点
コンクリート柱・木柱いずれについても、必ず資源として再利用できるとお約束するものではありません。
材質や状態によって処理の内容は異なり、木柱については防腐剤の確認結果次第で、資源化ではなく適正処理が必要になる場合があります。
なお、木柱の防腐剤については、写真だけでは種類を判断できない場合があります。確認の進め方は、状況をうかがったうえでご案内します。
また、コンクリート柱や木柱が廃棄物処理法上どのように区分されるかについては、現物や状況を確認したうえでご案内する内容であり、この記事で一律の法的な判断をお伝えすることはできません。
撤去費用についても、本数、進入路の状況、重機の種類、処分先までの距離などによって変わるため、具体的な金額はこの記事では扱っていません。
抜き取り・搬出・処分といった現場作業は、弊社が自ら行うのではなく、協力会社に依頼して進めます。
弊社の役割は、対象物の内容を確認し、資源として評価できる部分と適正な処理が必要な部分を整理して、適切な処理先へつなぐことです。
7. ご相談前に準備していただきたい情報
撤去を発注してしまう前にご相談いただくと、資源になる部分と適正な処理が必要な部分を分けてご案内しやすくなります。次の情報をご用意いただけると、確認がしやすくなります。
・柱が立っている状態の写真(全体が分かるものと、近くから撮ったものの両方)
・コンクリート柱と木柱が混在している場合は、それぞれが分かるように撮影したもの
・柱に付いている装柱金物、電線、碍子が分かる写真
・柱の本数、おおよその長さ・太さ
・柱の材質(コンクリートか木か、分かる範囲で)
・地中への埋設深さ(分かれば)
・敷地内への重機進入路の有無、周囲の障害物
・希望する撤去時期
切断後・撤去後の状態よりも、立っている状態の写真のほうが、本数や周囲の状況まで含めて判断できる情報が多くなります。無理にご自身で分別・整理していただく必要はありません。
これらがすべて揃っていなくても、まずは分かる範囲で写真を送っていただければ、確認したうえでご案内します。
8. まとめ・お問い合わせ
・電柱を1本撤去すると、装柱金物、電線・接地線、碍子、柱本体など、性質の違う資材が同時に出ます
・コンクリート柱は、破砕して再生砕石にできることが、弊社が受注した案件で確認できています
・木柱は、防腐剤を確認したうえでなければ、資源にできるかどうか判断できません
・「木柱だから燃やせばよい」「古い木だから良い木材」という単純な判断はできません
・評価や処理の内容は、材質や状態によって変わるため、断定はできません
・弊社は対象物の内容を確認し、資源として評価できる部分と適正な処理が必要な部分を整理したうえで、専門の事業者と分担しながら進めます
敷地内に残った電柱の撤去を検討されている場合は、撤去を発注する前に、柱が立っている状態の写真を送ってご相談ください。
コンクリート柱か木柱か、防腐剤の確認が必要かどうかも含めて確認したうえで、資源として再利用できる部分と、適正な処理が必要な部分を分けてご案内します。